ピーターソン国際経済研究所(Peterson Institute)の調査によると、近年、女性が経営に携わっている企業はそうでない企業よりも年間の利益率が高くなっています1。しかし、多くの業界で女性はいまだに性別や不平等による大きな壁を感じているのが現状です。どうすればこの壁を突破できるのか。世界的に活躍している女性ビジネスリーダーのアドバイスをご紹介します。
ビジネスでのジェンダーギャップに関する世界的な統計では、さまざまな業界で、女性社員は男性社員よりも給与が低く、昇進の機会も少ないという傾向が出ており、また、役員レベルの役職に就く人も少数です。さらに、有色人種の女性の場合は特に不平等が顕著に表れています。
それにもかかわらず、ジェンダーギャップという大きな壁を打ち破り、ガールズ・パワーを発揮している先駆者たちがいます。「大きな壁が立ちはだかろうとも目標を達成するために何をするべきなのか」「どのように考えるべきなのか」など、インスピレーションあふれる女性起業家たちのアドバイスや名言をまとめました。
1:うまくいくまでは、うまくいっているふりをする
「なにも恐れる必要がなければ、何がしたいですか?」と聞くのは、アメリカのビジネスエグゼクティブで慈善家でもあるSheryl Sandberg氏です2。米国財務省の首席補佐官、FacebookのCOOなど、輝かしい経歴を持ち、常に高い目標を掲げ、ビジネス界の最前線で活躍しています。
「自分が何を達成できるかという期待値を自分自身で下げてしまっている。」3
彼女自身、意欲があふれ、常に高い目標を掲げていますが、彼女は女性がキャリアを考える時に自分自身で可能性を抑え込んでしまっていると主張しています。
「女性は 『自分にはそんなことはまだできない』ではなく、『それをやってみたい、きっとそこから何かを学べる』 と考えにシフトする必要があります […] 自信を持つこと、もしくは自信があるふりをすることがチャンスを手にするうえで欠かせません。そんなことはわかってると思うかもしれませんが、チャンスは与えられるものではなく、つかむものです」4
2:情熱を追い求める
「まずは自分のことを知ることです。何に関心があるのか?何のために戦うのか?そしてそれに全身全霊を捧げる。強さと根気を持ってさえすれば、あなたは成功するのです」- Dr. Jill Biden氏、米国大統領夫人
好きなことを一生懸命やれば、人生で一日たりとも「働かされる」ことはないと彼女たちは言葉にします。成功したビジネスの多くは情熱から生まれています。実際にコロナ禍では、向上心のある起業家たちが躍動し、自分の趣味をビジネスへと変貌させました。このように起業を考えている方は、フルタイムの仕事を辞めて起業家の仲間入りをする前に、副業を成功させるヒントもご覧ください。
3:世界に変化を望むなら、自らがその変化になる
不平等という考えを変えるには、それに気付いて何らかの行動に出る人がいなければ実現しません。Malaville Toysの創設者、Mala Bryan氏は市販の人形の中に有色人種の商品がほとんどないことに気付き、彼女は不満を漏らす代わりに生産性のある行動に出ました。
「私が人形を集め始めたとき、市販品のなかに何か欠けているものがあることに気付いたのです。有色人種だけではなく、アルビノの人形もありませんでした。大手起業ブランドの多くは、現状を理解せず、本当に何が必要とされているかもわかっていないと感じました。私はそのギャップを埋めるために、自分ができることをやってみようと決めました。私の個人的な体験や、私のような人たちの実際の経験に基づいて人形をデザインしています」
この点は、Whitney Wolfe Herd氏も同じです。彼女は20代前半で、マッチングアプリを提供しているティンダー社(Tinder)のマーケティング担当副社長という輝かしい役職に就きました6。数年後、会社を辞職しましたが7、彼女は立ち止まらず、経験を活かして女性が使いやすいデートアプリ、バンブル(Bumble)を創設しました8。このアプリはその後、世界的な大成功をおさめ、130億米ドルの価値があると評価されています9。
4:許可を求めない
チャンスは降ってくることはありません。外の世界に飛び出してチャンスを見つけ、自分のものにするしかないのです。Whitney Wolfe Herd氏はこう言っています。
「女王蜂はどのように行動しますか?自分の好きなように行動します。誰かがあなたのためにドアを開けてくれるのを待たないでください。あなたには腕があるでしょう。自力でやれますよ」10
ニューヨークを起点とする化粧品大手バーチボックス社(Birchbox)の共同創設者兼CEOの Katia Beauchamp氏も、この助言に同意しています。
「自分がやりたいことが何であれ、それを阻むものが何であれ、言い訳をするのはやめよう。あなたは何でもできるのです」12
5:資金調達:まずは調べることから
Eコマースは女性企業家にとって公平に競争できる場所となっています。なぜならWiFi環境さえあれば誰でもネットビジネスを始められるからです。それでも、資金調達という問題は残ります。ここでも女性にとって不利な点があるのです。
アメリカに拠点を置く中小企業を対象に行われた調査によると、2020年に事業融資の申請者の男女比は女性が27%、男性が72%でした。また、女性が経営するビジネスの平均的な融資額は、男性が経営するビジネスよりも33%低くなっていました13。
起業を検討する際は、女性起業家が利用できる融資、支援、助成金制度などを調べることをお勧めします。たとえば、日本政策金融公庫 国民生活事業14では、女性の方、35歳未満または55歳以上の方の創業を「新規開業資金」で支援しています。
6:失敗から学ぶ
ビジネス成功への道は決して平坦ではありません。決意と折れない心が必要です。大切なのは、どんな失敗も、そこから学べば成長につながるということです。「完璧を求めすぎるのは失敗につながります。完璧なんてありえませんから」15とSheryl Sandberg氏は言います。
女性向けシェイプウェアブランドスパンクス(Spanx)16の創設者、Sara Blakely氏も「子供のころから父に私と弟は失敗した方がいいと言われてきました。そのおかげで私は何にでも自由に挑戦し、人生で翼を広げることができたのです 」17と伝えています。
2012年、彼女は世界で最も若い女性億万長者としてフォーブス誌の表紙を飾りました。
1 - ピーターソン国際経済研究所、2020年5月
2 & 4 - Sheryl Sandberg, Inc, 2022年4月
3 - Sheryl Sandberg、フォーブス、 2013年3月
5 - Dr. Jill Biden、Women Deliver、 2017年3月
6 - Tinder
7 & 9 - Whitney Wolfe Herd、Wikipedia、 2022年4月
8 - Bumble
10 - Whitney Wolfe Herd、365引用、 2022年4月
11 - Birchbox
12 - Katia Beauchamp、SBBC、 2022年4月
13 - Biz2Credit Women-Owned Business Study、Yahoo Finance、 2021年3月
14 - 日本政策金融公庫
15 - Sheryl Sandberg、Good Reads、 2022年4月
16 - Spanx
17 - Sara Blakely、CNBC、 2013年10月