ベトナムは、1980年代半ばから経済改革プログラムが始まって以来、経済成長を遂げてきました。実際、2020年に新型コロナウイルスの世界的なパンデミックが発生したにもかかわらず、ベトナムは数少ない2桁の売上成長を達成した国のひとつです1。
急速に発展しているEC市場と、増加する中流階級を持つベトナムは、オンラインビジネスにとって非常に魅力的なチャンスがあります。安定した国際配送パートナーとの連携や現地の情報を知ることで、ビジネスの成功が期待できます。今回は、ベトナムへの輸出に必要な市場トレンドと通関に関する知識を探っていきましょう。
約1億人
ベトナムの人口は約1億で²、平均年齢は32.9歳と比較的若い世代が多いのが特徴です³。これらの若者はデジタルにも精通しており、ベトナムのEコマースの成長を支えています。
注目の東南アジア
ベトナムは、東南アジア中でもインターネット経済が最も急成長している国のひとつです⁴。2030年までに1,700万世帯に達すると予測されている中流階級層の拡大と⁵、スマートフォンの普及によって、さらなるEコマースの成長に適した環境を作り出しています。
市場成長率25%
2023年のベトナムのEコマース取引規模はおよそ133億米ドル、2024年には147億米ドルが見込まれており、過去4年間で年平均16~30%の成長率をみせています。加えて2024年から2029年までの年平均成長率は10%を超えると予測されています⁶。
ベトナムでのビジネス:消費者の購買行動
ベトナムの消費者はどこでネット通販を利用しているか?
オンラインマーケットプレイスは、新たな市場に初めて参入したいと考えているEC事業者にとって有力なゲートウェイです。東南アジアで非常に大きな存在感を持つShopee(ショッピー)などのマーケットプレイスでは、越境EC事業者が各国の消費者に直接商品を販売することができます。
ベトナムの消費者は何をネット通販で購入するのか?
ファッションや家電、電子機器、本などのカテゴリーは、価格競争力を高めることができれば、よりベトナムの消費者に注目されるでしょう。
これらの商品は多くが外国ブランドからの購入されており、実際にはベトナム全体のEコマース取引の38%が国境を越えて行われています9。
ベトナムの消費者は、ネット通販においてどのような支払い方法を好むのか?
調査によると、ベトナムのネット通販利用者は、希望する支払い方法が利用できない場合、購入を諦める傾向があります10。各国の消費者が望む支払い方法を提供することは、越境EC事業者が消費者との信頼関係を築くのに役立ちます。
商戦期と文化的傾向
ここでは、ベトナムにおける一年間の商戦期や祝日を紹介します。
テト(Tết)
ベトナム最大の商戦期はテト・グエン・ダン(ベトナムの旧正月)です。1年の中で最も長い公休日であり、最大で連続10日間の休暇となります。
テトは通常1月または2月に祝われ、ベトナムで最も盛り上がりのあるショッピングシーズンです。新型コロナウイルス以降、セール期間中の人混みを避けるためにオンラインでの購入が活発になっており12、 人々は家族や友人にギフトボックスやスマートガジェットなど、さまざまなギフトを準備します。また、ギフト以外にも新年に向けて新しい服を購入する人も多く、ショッピング需要はテトの数週間から増加します。
9.9(ダブルナイン)
中華圏で「永久」を連想させ、縁起がいい数字とされる「9」を起源とした9.9(ダブルナイン)では、主要ECサイトの多くが毎年8月末から9月にかけて大型セールを行います。
東南アジアの国々で主力なECサイトであるShopeeの日本法人であるショッピージャパン株式会社は日本越境商品を新規購入する消費者の急激な増加、日本越境商品・セラーの認知度・需要の向上に貢献していると発表しています13。これは2024年から導入が開始されたベトナムでも期待できると考えられます。他国の過去の傾向からは、日本のヘルスケア、化粧品類などの生活用品、食料品、家具類などの売上に増加傾向があります。
11月11日 シングルズデー(独身の日)
中国で独身生活を祝う日とされていたイベントですが、オンラインショッピングの普及と共に世界的なセールイベントに発展しました。
シングルズデーの購買者の多くは「自分への贈り物・ご褒美」を購入するため、他のセールに比べて、やや高額なファッションやスポーツ用品・化粧品類・家電製品などの需要増加が見込まれます。また、9.9(ダブルナイン)とクリスマスや年末セールという2つの大型セール間の空白の時期に行われるため、消費者の購買欲を維持するイベントとして位置づけられています14。
オンラインフライデー
毎年12月第一金曜日に開催されるオンラインフライデーは国内消費の刺激、オンラインショッピングに対する消費者の信頼を築くことを目的としており、Shopee、Lazadaなどの主要なECサイトは幅広いプロモーションを実施しています。
昨年の「Vietnam Online Shopping Day – Online Friday 2023」では、500のブランド、3,000の企業が参加する大きなイベントとなりました。クレジット会社はキャッシュバックサービスを、宅配業者は配送料を半額にするなどしてオンライン業者を支援、また参加小売業者は高級衣類・本・デジタル器具など大幅な割引価格で販売を行っており、今後のベトナムでのオンライン消費の拡大をより促進すると期待されています15。
輸入規制と通関手続き
通関手続き
ベトナム政府は近年、税金と輸入の規制強化を目的とした新しいプロセスを導入し、特にオンライン購入における課税の適正化を図っています。
ベトナム国外のB2BおよびB2Cの販売事業者は、電子商取引を行う外国事業者用のオンラインポータルであるベトナム一般税務総局(GDT)に対して売上税を支払うよう求めています。
輸入制限品目と禁止品目
ベトナムでは、医薬品、化学物質、電子製品、農産物などの特定の商品の輸入に関する規制があります。
ベトナムへの輸入が禁止されている品目リストはウェブサイトから確認できます:Appendix I Decree No. 69/2018/ND-CP
ベトナム政府は、通関手続きの前に、品質、健康、文化、検疫、食品安全などの項目を検査する場合があります。これらの検査の対象には、スマートカード(日本でいうICカード)、銀行トークン(ワンタイムパスワード生成機器)、医薬品、化粧品などがあります。
輸入税金
ベトナムは輸入関税、付加価値税(VAT)、特別消費税(SCT)を含むさまざまな税金種別を持つ複雑な税制を採用しています。税率や免税措置は、商品の種類、原産地、その他の要素によって異なります。
HSコード(輸出入統計品目番号)の商品の種類に基づいて、関税率は0%、5%、10%、15%、20%、25%となっています。それらの商品のうち過半数が5%にあたります。
ベトナムへの輸入通関の複雑な手続きをスムーズに進めるために、現地の法律専門家と連携することをお勧めします。
商品のラベル表示
輸入品の商品ラベルには、商品名、原産地、商品の責任者、賞味期限などの重要な情報が記載されたラベルまたは補足ラベルの表示が義務付けられています。
ベトナムへの輸出:お役立ちリンク
ベトナムへの輸出に関するアドバイスが必要な場合、事業者は自国政府またはベトナムに拠点を置く組織が提供する公式な貿易サービスを利用することができます。以下はその例です:
- WTOセンター&国際貿易:ベトナム商工会議所(VCCI)の下で活動する組織です。国際貿易、世界貿易機関(WTO)の合意、貿易政策に関連する貴重な情報、分析、リソースを提供しています。同センターのウェブサイトでは、貿易規制、市場機会、貿易紛争など、事業者にとっての貴重な情報が豊富に提供されています。ウェブサイト:https://wtocenter.vn/wto/9-introduction/1
- 産業貿易省(MOIT):ベトナムの産業と貿易部門の発展と規制を担当する重要な政府機関です。貿易政策の形成、貿易促進の推進、ビジネス環境の構築において重要な役割を果たしています。MOITのウェブサイトでは、貿易法、投資規制、市場調査、貿易促進イニシアティブなどに関する包括的な情報が提供されており、ベトナムでの貿易活動に関与したい事業者にとって貴重な情報源となっています。ウェブサイト:https://moit.gov.vn/en
- ベトナム税関:ベトナムにおける通関手続きと規制を管理する政府機関です。輸出入活動の監督、関税の徴収、貿易関連の法律と規制の遵守を確認します。ベトナム税関のウェブサイトでは、通関手続き、関税分類、貿易統計などの重要な情報が提供されており、ベトナムにおける通関手続きと輸出入要件の複雑さを乗り越えるための貴重な情報源となっています。ウェブサイト:https://www.customs.gov.vn/index.jsp?ngon_ngu=en
- 政府機関のウェブサイト:輸入・輸出品の専門検査を管理する機関(グループ2の商品):
ベトナムの輸入規制
一部の商品はベトナム政府の承認が必要です。例えば:
ベトナムへの輸出に関するアドバイス
- 物価上昇による購買行動の変化:ベトナムでは価格の急激な上昇が消費行動に影響を与えています。高級品、旅行、電子製品への需要は結果的に減少する可能性があります。
- サステナブルでエコフレンドリーな商品の需要の高まり:環境問題に対する意識が高まるなか、消費者は環境への影響が最小限に抑えられた商品、例えばオーガニック、リサイクル、再利用が可能なアイテムなどへのニーズが高まっています。事業者にとっては、これはコストの増加と利益率の低下を補う機会でもあります。
- データプライバシーへの懸念:ベトナムの消費者の間で、個人情報のセキュリティに対する懸念が高まっています。これは詐欺やデータの盗難への恐れによるものであり、特にデジタルプラットフォームやソーシャルネットワーキングサービス(SNS)でのやり取りの際に顕著です。Eコマース取引ウェブサイトでデータポリシーを明確にし、信頼を築くようにしましょう。
- ソーシャルメディアでのショッピング:ソーシャルメディアプラットフォームはベトナムの消費者の購買行動において重要な役割を果たしています。Facebookがベトナムでの市場をリードしており、それに続くのがZalo(ザロ:ベトナムのメッセージアプリ)、Instagram、TikTokなどです。多くの事業者がこれらのプラットフォームを活用し、商品を紹介に加え、ターゲティング広告キャンペーンを実施し、FacebookやInstagramなどのショップ機能を通じて直接の購入を可能にしています。
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DHL Expressアカウントを開設する1 - J.P.Morgan, 2021
2 & 3 – Worldometer, accessed December 2023
4 – J.P.Morgan, 2021
9 - J.P.Morgan, 2021
10 - Checkout.com, September 2023
12 – Hanoi Times 2021
13 – PRTimes 2022
14 – wonect
15 – Vietnam+ 2023