ホリデーシーズンは、EC事業者にとって売上アップの大チャンス。海外の消費者に販売する成功の鍵は、越境ECの最新トレンドを押さえることです。国内向けとは異なる文化や季節の行事、イベントに沿ったプロモーションを計画することで、多様な市場を効率的に攻略することが可能となります。
ブラックフライデー、Amazonプライムデー、シングルデー（独身の日）など、世界的なショッピングピークに合わせたマーケティング戦略を展開すれば、売上の大幅な成長も夢ではありません。こうしたイベントは、年間収益の重要な割合を占めるだけでなく、世界中の顧客とつながる絶好の機会を提供します。
この記事では、効果的に自社の商品やサービスに合ったターゲット地域の特有イベントを捉え、競合と差別化しながら売上を伸ばす考え方についても取り上げます。越境ECをこれから始める方から、すでに参入している方まで、売上最大化のヒントを見つけてください。
必見！EC市場を左右する世界のセール・イベント
世界中の消費者を対象にビジネスを展開するには、事前にターゲットとする国の購買トレンドや消費者動向などを押さえておくことが重要です。ビジネスチャンスを最大限に活かすためにも各国の年間の主要イベントを把握しておきましょう。
母の日
母の日は、母親や母のような存在への愛と貢献に感謝を伝える大切な日。すべての「ありがとう」をカタチにする絶好の機会です。起源には諸説ありますが、「アメリカである女性が亡き母を偲び、教会でカーネーションを配ったこと」が始まりとされています。今や母の日は世界中に広がり、多くの国で親しまれるイベントに。
- 5月11日：日本と同じ「5月の第2日曜日」を母の日とする国は5カ国（米国、オーストラリア、イタリア、フィンランド、トルコ）。地域によって日程は異なります。
- 対象国：北米、ヨーロッパ、アジア太平洋地域を含む広範囲で祝われています。オンラインマーケットプレイスや専門のECショップ、百貨店などの実店舗の小売店、ギフト専門ショップなど、この時期にはどこも来客数が増加する傾向にあります。
- 人気の商品：花、チョコレート、ジュエリー、名入れギフト、体験型ギフトなど。
父の日
主に6月の第3日曜日に祝われますが、国によって祝う月はさまざまです。イベント日の約1か月前からギフトの検索数が増加する傾向にあるため早めの準備は大切です。Eコマースでは、ギフトのアイデア、特別なプロモーション、パーソナライゼーション、デジタルギフトカード、コンテンツマーケティング、効率的な発送、クロスセリング、SNSを使ったエンゲージメントなどの様々な施策をうつことができます。ギフトとなる商品カテゴリーも幅広いため、サイト内トップに特集ページを作成するなど、誘導後も消費者が見やすいページを用意することも有効です。
- 6月15日：米国、カナダ、日本などは6月、オーストラリアやニュージーランドは9月にお祝いするなど、地域によって異なる場合があります。
- 対象国：北米、南米、ヨーロッパ、アジア太平洋地域など、世界中で祝われています。
- 人気の商品：男性向けのパーソナライズされたギフトや体験、家庭用品、革製品、ちょっとした贅沢品など。
中南米で急成長する半期セール
中南米市場では、ホリデーシーズンのプロモーションに加え、半期セールもEコマースの重要なイベントとして定着しつつあります。2022年、メキシコでは約232億メキシコペソ（約1,733億円）のオンライン売上を記録し、1,200万人もの新規購入者を獲得。同年、アルゼンチンでも約420億アルゼンチンペソ（約60億円）規模の半期セールが成功を収めました（参考文献：Statista、2024年）。さらに、コロンビア、ブラジル、チリ、ペルーなどでもEコマースのセールイベントが急増中。ネットや物流インフラが年々整備され、まだまだ成長が期待されるラテンアメリカ市場は魅力的であり、販促戦略上ますます重要になりそうです。
- 5月～6月
- 対象国：ラテンアメリカ、特にメキシコ、アルゼンチン、ブラジル
- 人気の商品：家電製品、玩具やゲーム、家庭用電化製品、美容・スキンケア用品、アパレルなど
Amazonプライムデー
Amazonプライムデーは、プライム会員向けに特別セールを実施する、Amazon最大級のグローバルショッピングイベントです。このEC市場の重要イベントでは、Amazonのプラットフォームに膨大なトラフィックが流入。通常時と比べてアクセス数は約50%*増加し、ユーザー1人あたりの購入額も2倍に跳ね上がります。売上拡大の絶好のチャンスを逃さず、戦略的に活用しましょう！
- 例年7月に開催：最新情報はAmazon公式サイトで要確認です。
- 対象国：世界各国のAmazonプラットフォーム
- 人気の商品：家電製品、家庭用品、ファッション、美容製品など、ほぼすべての商品カテゴリー。
*参照：Datos
新学期シーズン
日本では4月が新学期シーズンですが、北米やヨーロッパなどは、Back to Schoolシーズンと呼ばれ、8月～9月に新学期に向けた準備が本格化します。この期間は、新しい生活に必要なものを揃える傾向があり、家族の消費支出が増加するのが特徴です。
- 8月～9月：地域によって異なりますので、販売する国の新学期のタイミングを確認しましょう。
- 対象国：北米、ヨーロッパ、アジアなど世界各国で、オンライン、実店舗を問わず関連商品の購入が増加します。
- 人気の商品：新学期、新生活を迎えるにあたって必要な文房具、バックパック、ハイテク機器、衣類、靴など。
夏が終わるとピークシーズンが始まる！
秋口から年末にかけては海外の大型商戦が目白押しとなります。多くのEC企業がプロモーションに力を入れるハイシーズンです。ハロウィーンの盛り上がりからブラックフライデー、サイバーマンデー、そしてクリスマスと一連の流れで売上を伸ばすチャンスがあります。
その分、この期間は競争も激しくなるため、早めの計画が重要です。また、海外向けの販売がメインの越境ECでは、配送の遅延リスクや在庫確保などの対策も重要となります。
だからこそ、この時期の高まる購買意欲をしっかり捉え、競合に差をつける戦略が欠かせません。 万全の準備で、ビジネスの成長を加速させましょう。
シングルデー（独身の日）
ダブルイレブン（Ｗ11 ）とも呼ばれる、中国における年間最大のECショッピングイベントは毎年11月11日に開催されます。発祥は中国ですが、現在ではアジア市場全体で活況を呈しています。また、中国の全プラットフォームでは年々売上を大幅に伸ばし続けている一方で、キャンペーン期間を長く設定したり、ルールが複雑になったり、効果的に活用するには最新のトレンドを十分に把握したうえで、入念な準備、柔軟な戦略が求められます。
- 11月11日
- 対象国：中国のショッピングモール大手、アリババ（天猫）やテンセント（騰訊控股）などが、この日のセールスをめがけて熾烈なシェア争いをしています。今では盛り上がりはアジアEC市場にも広がり、例えばタオバオ（淘宝）、ショッピー（Shopee）、ラザダ（Lazada）などでも、幅広く取引きやトラフィックの増加が見られます。
- 人気の商品： 電化製品、ファッション、美容、家庭用品など、幅広い商品が人気です。
ブラックフライデー
アメリカで最も盛り上がるセールがブラックフライデーで、多くの人々が大幅値引き商品を求めてショッピングを楽しみます。すでに世界的に定着しているイベントだからこそ競争も激しく、高い割引率や数量/期間限定のタイムセール、送料無料で提供するなど、施策もひと工夫が必要となります。集客も、ターゲットとなる市場に向けて効果的にSNSを活用して情報発信するなど、早めに対応することをお奨めします。
- 11月28日：感謝祭（11月の第4木曜）の翌日
- 対象国：発祥はアメリカですが現在では日本を含む世界的なショッピングイベントとなっています。ECショップ、マーケットプレイス、実店舗の小売店など、あらゆる業態がこの大型商戦イベントを実施しています。
- 人気の商品：家電、アパレル、日用雑貨、食品など、商品カテゴリーは多岐に渡ります。
サイバーマンデー
感謝祭翌日のブラックフライデーだけでなく、その後に続くサイバーマンデーも大規模セールとして定着しています。オムニチャネルの小売よりもオンラインセールに重点が置かれているものの、昨今では、ブラックフライデーをフックにサイバーマンデーも含めたピークシーズン商戦へと続いていく傾向にあります。
- 12月1日
- 対象国：世界中でオンラインを中心に開催。Amazonのような世界的な大手オンラインプラットフォームや、日本の楽天、中国のタオバオ、東南アジアのショップのような地域限定のオンラインプラットフォームが参加しています。
- 人気の商品：主に、電子機器、テクノロジー、ガジェット、家電製品。
クリスマス
世界中で祝われるクリスマスは1年最大のギフトシーズンとして注目されます。アクセサリー、ファッション、インテリア、家電など、あらゆるジャンルの商品がギフトとして求められます。越境ECでは、文化的背景が異なる消費者へのプロモーションを考慮しつつ、クリスマスならではの限定商品やセット販売を行うことで大きな売上を期待できます。
- 12月25日
- 対象国：世界中で祝われています。オンラインでも実店舗でも。
- 人気の商品：おもちゃ、家電製品、アパレル、家庭用品、ギフトバスケット、体験など、その他多数。
歳末セール
歳末セールは、年間で最も売上が伸びる時期の一つです。クリスマスや年末年始の需要が高まり、消費者はギフトや自己投資のために積極的に購入を行います。このタイミングでのセールは、集客と売上拡大の大きなチャンスです。成功の鍵は、まず魅力的な割引や限定商品を用意すること。「期間限定」や「まとめ買い」と称した割引を活用し、購入意欲を高めます。また、効果的なプロモーション戦略も重要です。SNS広告やメールマーケティングを活用し、ターゲット層に的確にアプローチしましょう。さらに、スムーズな購買体験を提供することも欠かせません。決済や配送の選択肢を充実させ、年内配送を保証することで、消費者の不安を解消できます。加えて、リピート購入を促すためにポイント還元やクーポンを配布し、次回の購入につなげましょう。
- 12月：在庫一掃を目的に、新年明けて1月まで続くこともあります。
- 対象国：多くの地域、特にヨーロッパや東南アジアで広く開催されています。続けて新年のお祝いに結びついたキャンペーンをしているケースもあります。
- 人気の商品：多種多様で、在庫処分品や冬物ファッションなどの季節商品が含まれることが多いです。
越境ECの海外販売を強力サポート！物流はDHL Expressにおまかせください。
ピークシーズンのチャンスを逃さず、イベントに合わせた販売戦略を成功させるには、年間を通じた販促カレンダーの作成が効果的です。カレンダーを用意することで、各月の主要イベントを一目で把握でき、無駄なくプロモーションを計画できます。特に越境ECでは、複数の国や地域をターゲットにすることが多いため、地域ごとのイベント情報を整理しておくと便利です。また、特設ページの作成やSNSでの告知など、事前にプロモーション施策を準備しておけば、直前のバタつきを防ぎ、クオリティの高い販促が可能になります。
準備すべきことが多い越境ECだからこそ、まかせられる部分は専門業者に依頼するのがおすすめです。物流のことなら、ぜひDHL Expressにご相談ください。
まとめ：本記事で挙げたピークシーズンの特徴や販促カレンダーの活用方法を意識し、計画的に準備を進めることで越境ECの売上拡大が期待できます。
まずは販促カレンダーを作成し、主要イベントの時期や規模感、アプローチ方法を整理しましょう。その上でSNSや広告、在庫管理などのオペレーション体制を最適化し、ピークシーズンに備えるのが効果的です。
今後はさらに多くの企業が越境ECに参入し、ますます競争が激化していくと予想されます。だからこそ、自社の商品やサービスの強みを活かした差別化と、タイミングを逃さない計画的な販促活動が求められます
