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「からり」「むくり」「ざぶん」。世界から愛される文具店の、不思議な品揃え

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Image: "Innocent Rouge” ©2021, Shin-ichi Sakamoto / Shueisha Inc. All rights reserved.

東京の下町、蔵前に『カキモリ』という名の文具店があります。デジタルコミュニケーションが主流のこの時代に、筆記具を中心とした品ぞろえにこだわるこの小さなお店は、やがて越境ECと国際エクスプレスの力を得て、今では世界各地にファンを持つ文具店になりました。独自の品ぞろえとその世界観で文具ファンを魅了する「カキモリ」の店主に、お話を伺いました。

筆記具にこだわる、下町の文具店

若者だけでなく、老若男女が当たり前のようにスマートフォンでコミュニケーションを交わす現代。SNSやメッセージアプリなど、デジタル空間には大量の言葉が飛び交う。

「今の時代は、ペンを使って書く機会ってどんどん減ってしまっています。ですから、このお店では、人々に書くたのしさを再発見してほしいと思っています」。

そう話すのは、ものづくりの工房や問屋が軒を連ねる東京・蔵前にある文具店『カキモリ』の代表、広瀬琢磨氏。文具店ではあるが、この店が中心に取り扱うのは、ただ「たのしく書く道具」、つまり紙とペン、そしてインクだ。

「書く」ことのたのしさで溢れる店内

ペン先の卸売りを生業にした祖父から続く、文具商の三代目。筆記具にこだわる下町の店。そう聞けば、誰もが気難しい店主を想像するかもしれない。しかし、職人気質の頑固さや、デジタルの波に抗うような焦燥感は、広瀬氏からは一切感じられない。むしろ真逆の印象だ。柔和な表情と、穏やかな語り口は、「カキモリ」の世界観そのものだ。

「『カキモリ』の店名の由来は、たのしく書く人、「書き人」という意味から来ています。ですから筆記具でも、すごくラグジュアリーなものや、マニアックな品揃えではなく、興味のない人でも気軽に来店して、『久しぶりに、ちょっと書いてみたいな』という気持ちになってもらえるような品揃えを目指しています」。

まるでカフェかブティックを思わせる外観に、天井の高い開放的な店内。商品は、独特な丸みを帯びたインクボトルや、素材にこだわった紙やペン。それぞれが、思わず触れたくなる魅力を持っている。そして、不思議と何か書いてみたくなる衝動に利き手をくすぐられる。

ペン先の卸売りを生業にした祖父から続く、文具商の三代目。筆記具にこだわる下町の店。そう聞けば、誰もが気難しい店主を想像するかもしれない。しかし、職人気質の頑固さや、デジタルの波に抗うような焦燥感は、広瀬氏からは一切感じられない。むしろ真逆の印象だ。柔和な表情と、穏やかな語り口は、「カキモリ」の世界観そのものだ。

「『カキモリ』の店名の由来は、たのしく書く人、「書き人」という意味から来ています。ですから筆記具でも、すごくラグジュアリーなものや、マニアックな品揃えではなく、興味のない人でも気軽に来店して、『久しぶりに、ちょっと書いてみたいな』という気持ちになってもらえるような品揃えを目指しています」。

まるでカフェかブティックを思わせる外観に、天井の高い開放的な店内。商品は、独特な丸みを帯びたインクボトルや、素材にこだわった紙やペン。それぞれが、思わず触れたくなる魅力を持っている。そして、不思議と何か書いてみたくなる衝動に利き手をくすぐられる。

その不思議な魅力は、商品名にも。澄み渡る快晴の空を思わせる青いインクには『からり』、同じ青でも海を連想させる青いインクには『ざぶん』、冬眠から目覚めた熊のような色には『むくり』など、独特な名前がつけられている。他にも、『くるん』、『ととと』など。不思議なネーミングが、書いてみたくなる気持ちをさらに掻き立てる。

「純粋に、自分たちが心から使いたいと思うものを置いています。お客様にも愛着をもって長く使ってもらえる商品。それはいつしか、単なる筆記具ではなく古道具になっていく。そんな品揃えを目指しています」

その情熱に共感した顧客が、ひとり、またひとりと増えていく。それは、国境を越えて世界にも。

「インスタグラムなどで興味をもってくださった海外のお客様が、わざわざ当店を目当てに来日してくれています」。

来店客が試し書きできる紙片には、英語やハングルなど、様々な外国の文字が躍っていた。

海を越えて広がる共感

「オンライン販売を始めたのはほんの数年前ですね。もともと対面で販売する小さなお店としてスタートしましたが、だんだんオンラインでも買いたいというお客様の声が増えてきて始めました。それが徐々に世界にも拡がっていき、今では海外へ販売する越境ECは、カキモリのビジネスの柱になっています。」

越境ECを始めてから間もないが、今では台湾や韓国など、アジアだけではなく、アメリカやイギリス、フランスなど、欧米各地からもオーダーが入る。届けているのはDHL Expressだ。「使うまで、DHLはB2Bの企業間輸送の会社だと思っていました」。

そんな広瀬氏が、DHL Expressを使い始めたのは、同じ越境ECの同業者からの紹介があったから。

「オンラインで購入したお客様の、購入時の気持ちの高揚が下がらないうちにドア・ツー・ドアで届けてくれるスピードは、とてもありがたいですね」と、広瀬氏はDHL Expressを評価する。

「当店でお買い物するお客様は、商品の機能性よりも情緒性や世界観を重視してくれていると思うんです。ですから、私たちのブランドや世界観も大切に届けてくれるDHLは、とてもありがたい存在です」。

今後はECの魅力を高めていくような施策を考えているという。

「お店に来てショッピングするように、オンラインでも楽しくお買い物をしてもらえるような仕掛けを考えていきたいと思っています」。

広瀬氏は、デジタルの波に抗うのではなく、むしろデジタルを活用し、商品の魅力をさらに世界に広げようとしている。

筆記具は、人と人をつなぐ大切な道具

たしかにデジタルの発達で、言葉を伝えることは、たやすくなった。私たちの身の回りにはデジタル機器があふれている。いつでもONの状態で。想いを伝えるために、わざわざ電源を入れる必要もない。そして、指先から放たれた言葉は、瞬く間に相手に届く。

そんな時代に、わざわざ紙を選び、インクにペン先を浸して文字を書く。そういう作業を惜しまない、いやむしろその手間と時間をいとおしむ人々を増やしたい。それが広瀬氏の思いだ。

「紙に書くことで、自分の感情とか、相手に伝えたい思いってもっと伝わると思うんです。それがアナログの良さかなと思います」。

紙にペンを走らせる。たったそれだけの行為から、いつの間にか遠ざかっていたことに改めて気づかされる。

「書くことが当たり前ではなく、特別なことになっていく。そんな時代だからこそ、筆記具は人と人をつなぐ大切な道具だと思っています」。

広瀬氏の思いは、液晶画面に照らし出されたデジタル文字に疲れた現代人に、着実に届き始めている。

 

カキモリ

〒111-0055 東京都台東区三筋1-6-2 1F

TEL : 050-3529-6390

営業時間 : 平日 12:00-18:00/土日祝 11:00-18:00 定休日:月曜(祝日の場合営業)

https://kakimori.com/