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HSコード(Harmonized System Code)とは?貿易・輸出入における基本ガイド

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HSコード(Harmonized System Code)とは?貿易・輸出入における基本ガイド

国際貿易では、毎日さまざまな荷物が国境や言葉の壁を越えて行き交っています。こうした貨物をスムーズに輸送し、適切な関税を適用するには、統一された分類システムが必要です。そこで登場するのが、Harmonized System(HS)コードです。HSコードは、世界共通のルールで商品を分類し、税率の決定や貿易統計の作成、通関手続きの円滑化などに役立ちます。

輸出入に関わる企業にとって、正しいHSコードの分類を理解し、使用することは非常に重要です。誤ったHSコードを使用すると、通関の遅延、予期しない関税、罰金、さらには法的な問題につながる可能性があります。

このガイドは、日本の企業がHSコードを正しく理解し活用できるよう、HSコードの基本、重要性、そして自社の物品に適した正しいコードを見つける方法について解説します。

 

HSコードとは?

まず初めに、HSコードの基本的な概要とその国際的な役割について解説します。

HSコードは「Harmonized System Code」の略称で、世界税関機構(WCO)が管理する国際貿易の商品分類システムです。日本では「輸出入統計品目番号」や「関税分類番号」、「税番」とも呼ばれ、各国の関税率の決定や貿易統計の作成に活用されています。

What is HS Code

HSコードは6桁のコードを基準とし、世界各国で共通管理されています。これにより、輸出入申告や関税の支払いに必要な情報をスムーズに共有する役割を果たします。国際的に統一された基準を設けることで、貿易に関わる手続きを効率化し、各国間の分類のばらつきを抑える仕組みが整えられています。

6桁のコードから構成されるHSコードは、「類」「項」「号」の階層ごとに分類され、段階的に品目を絞り込む仕組みになっています。多くの国では、この6桁に独自の桁を追加し、国内での詳細な分類や関税適用に活用します。そのため、同じ物品でも国によってコードが異なるケースが生じるため、輸出入の際には注意が必要です。日本では国際基準である6桁に3桁の国内細分を加えた9桁の統計品目番号を使用しており、最初の6桁は国際的に統一され、追加の3桁で国内向けの詳細な分類が行われます。

以下は、日本の一般的な輸出物品に対するHSコードの例です:

項目      

6桁 HSコード

9桁統計コード

HS分類

乗用自動車

8703.22   

8703.22(000)   

「1,000 ccを超え1,500 cc以下のシリンダー容量を持つ、自動車およびその他の自動車(ステーションワゴンやレーシングカーを含む)」に該当するHSコードは、通常 8703.22 です。このコードは、特定の排気量範囲に基づいて自動車を分類されています。

デジタルカメラ

8525.80

8525.60(000)

ラジオ放送またはテレビ放送用の送信装置(受信装置、録音または録画装置を内蔵しているかどうかに関わらず)テレビカメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラレコーダー

マンガ

4901.99

4901.99(000)

印刷された書籍、パンフレット、リーフレット、および同様の印刷物(単一シートであるか否かにかかわらず)、美術書および絵画集

日本酒

2206.00

2206.00(210)

その他の発酵飲料(例えば、サイダー、ペリー、ミード、清酒)、発酵飲料と発酵飲料および非アルコール飲料の混合飲料、他に分類されないもの、清酒(清酒および濁酒)

HSコードの重要性

HSコードは国際貿易において不可欠であり、商品の分類を標準化する役割を果たします。この標準化により、世界中の税関当局は、輸入および輸出され物品に対して適切な関税や税金、手数料を決定することが可能になります。

また、HSコードは貿易の円滑化、規制の遵守、正確な貿易統計の収集にも欠かせません。これらの要素は、国際取引の透明性を高め、スムーズな貿易の実現に貢献しています。

貿易業務では、輸出入申告の前にまずHSコードを正確に把握し、それに基づいて書類を作成し、輸送スケジュールを適切に調整することが必要です。物品によっては追加の許可や規制が適用されるため、正確に分類することで、予期せぬトラブルを回避できます。正しいコードを使用することで、通関の遅延を回避し、罰金のリスクを最小限に抑え、荷物を予定通りに届けることが可能になります。こうした業務の効率化は、顧客満足度の向上につながり、スムーズな国際貿易の運営にも貢献します。

 

正確なHSコードを見つけるためには?

物品の正しいHSコードを特定することは、スムーズな通関や貿易規制への遵守に不可欠です。以下に、適切なHSコードを見つけるための手順を分かりやすくご紹介します:

  1. 物品の把握: 輸送する物品の原材料、構造、形状、用途などを確認します。
  2. HSコードデータベースを参照する: 日本の税関が提供するオンラインHSコードデータベースを利用して、物品の特性に基づいて関連するコードを検索します。
  3. HSコードの項・号を特定する: 説明を慎重に確認し物品に適切なHSコードの項(4桁)、分類を決定します。

日本の税関のウェブサイトに加えて、仕向け地の税関ポータルでもHSコードや統計コードを見つけることができます。また、DHL Expressで海外に荷物を発送する場合は、「マイグローバルトレードサービス(MyGTS)」ツールを利用することができます。「マイグローバルトレードサービス」は、企業が新規市場への参入や新製品の発売に際し、荷物の出荷計画に必要な通関情報を簡単に取得できる無料のオンラインツールです。このツールでは、HSコードの検索や、陸揚げコスト*1の計算など、出荷を効率的に管理するための使いやすいインターフェースを提供しています。

*1陸揚げコストとは、製品を工場から顧客先まで届けるための総費用を指し、送料や保険料に加え、海外輸送にかかる推定関税額や税額も含まれます。

HSコードを検索する際のヒント:

  • 幅広い検索から始め、物品の特定の特性に基づいて結果を絞り込みます。
  • HSコードの説明や定義に注意を払い、輸送する物品と正確に一致しているか確認します。
  • 正しいHSコードについて不明な点がある場合は、通関業者や貨物運送業者に相談して専門的なアドバイスを受けます。
  • 世界税関機構(WCO)のウェブサイト日本税関のウェブサイトなどのオンラインリソースやツールを活用して、分類についての理解を深めます。

 

各国のHSコード:A ASEAN統一関税品目分類コード(AHTN : ASEAN Harmonized Tariff Nomenclature)

ASEAN諸国との貿易において、日本はASEAN統一関税品目分類コード(AHTN : ASEAN Harmonized Tariff Nomenclature)というやや異なるシステムを使用しています。AHTNは、ASEAN(東南アジア諸国連合)が採用している統一の関税分類表で、ASEAN域内の貿易統計の集計や関税率の設定、輸出入関連規制の適用などに用いられています。

このシステムは国際的なHSコードに基づいていますが、ASEAN地域内の貿易ニーズや規制に対応するため、さらに2桁を追加して詳細な分類を行っています。

ASEAN諸国への出荷にAHTNコードを使用することで、各国の特定の要件に沿った貿易や通関をスムーズに進めることができます。AHTNコードを理解し活用することで、日本の企業はASEAN市場における貿易の効率化と規制遵守を強化できます。

 

よくある間違いと注意点

HSコードの分類は非常に細かく、わずかな違いでも通関に重大な影響を及ぼす可能性があります。たとえば、製品の素材や用途のわずかな差によって異なるHSコードが適用され、誤った関税評価や通関の遅延を招くことがあります。

HSコードを正しく活用するためのガイド:

  • 物品を理解する: 物品を分類する前に、その素材、機能、用途を慎重に把握しましょう。
  • 公式のHSコードデータベースを参照する:世界税関機構(WCO)のウェブサイト日本税関のウェブサイトなど、税関当局が提供する公式のHSコードデータベースを参照します。
  • 専門家のアドバイスを求める: 物品に対する正しいHSコードが不明な場合は、通関業者や運送業者に相談して専門的な指導を受けます。
  • HSコードの変更について最新情報を得る: HSコードは定期的に改訂されるため、物品に影響を与える可能性のある変更について常に情報を得ておくことが重要です。
  • オンラインツールやリソースを活用する: 無料の「マイグローバルトレードサービス(MyGTS)」などのオンラインツールやリソースを利用して、HSコードの検索や確認のプロセスを簡素化します。

 

DHL Expressで実現する効率的な海外発送

dhl courier talking to a receptionist

DHL Expressは、通関手続きに関する豊富な経験と専門知識を持ち、HSコードの分類や各国の通関規制の複雑さを熟知しています。さらに、HSコードは、オンラインデータベース「MyGTS」や発送ツール「MyDHL+」でも確認でき、通関手続きを効率化し、配送の遅延を最小限に抑えることができます。

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